『ラスト・インピース』メガデス レビュー

格好…

「カッコイイって事はどのくらいカッコ悪いか知ってるか?」

とは漫画『SEX』にでてくる名言だが(たぶん元ネタは鮎川誠)、90年代初頭のグランジムーブメントでオーバーグラウンドから一掃された、当時のメタルミュージックを言い表すのにピッタリな科白だと思う。劇的な展開、大仰な歌詞、やたらとデカいヘアースタイル。徹底的に様式化されたメタルはあまりにも格好がよすぎて、逆に白々しいものになり、あの時代が求めていたものから掛け離れていたのだ。

しかし、皮肉にもグランジも様式に陥り終焉を迎え、その後にいくつかのムーブメントを通過した今の耳で、いわゆるメタルバンドであるメガデスの代表作『ラスト・イン・ピース』を聴くと、意外とロックなことに気付く。いや、メタルかロックかなんて最早関係ないのだ。『ラスト・イン・ピース』は、ただ単純に格好がいい。格好がよすぎるが故の格好わるさは、この作品には既に感じない。

グランジバンドが揶揄していた、延々と続くギターソロも登場する。だが、テレビ番組「ヘビメタさん」でおなじみのマーティ・フリードマンが弾くソロは、ちゃんと歌っていて曲中の必然として鳴っている。特徴的なボーカル(デイヴ・ムスティン)の声も、どこかフリーキーで大仰ではない。なにげにリズムもグルーヴしている。

偏見を捨て『ラスト・イン・ピース』を聴くと、そこには純粋に優れたギターミュージックとしての姿が現れる。

ゴリラズのベース、マードックもインタビューでメガデスが好きだと言っていた。00年代の今だからこそ『ラスト・イン・ピース』をおすすめしたい。

評点(10点満点)

【7点】ロックリスナーに聴いて欲しい。

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