『ローズ・イン・タイドランド』レビュー

見かた一つで世界は変わる

カルト的な人気を誇るテリー・ギリアム監督が、製作会社や配給元に、とやかく言われることなく撮った映画。という訳で『ローズ・イン・タイドランド』は、ギリアムファンが溜飲を下げる、100%ギリアム・カラーの映画になっている。

───10歳の少女、ジェライザ=ローズは、元ロックスターでジャンキーのパパと、自分勝手なママと暮らしいていた。ある日、ママがオーバードーズで死んでしまい───

取りあえず登場人物が一癖も二癖もある極端な人たちばかりで、平凡な人は一人も出てこない。主人公のジェライザ=ローズも、現実と幻想の世界を行き来する、ちょっと変わった女の子。そんなローズが、はたから見れば悲惨な毎日をイマジネーションで不思議の国に塗り変える。そう、『ローズ・イン・タイドランド』は、ギリアム版『不思議の国のアリス』なのだ。

とてもガーリーな内容だけれど、そこはかとなくロリータ・コンプレックスの影が付きまとう点も『不思議の国のアリス』を踏襲。ジェライザ=ローズの可愛らしさも相まって、見ていてひやひやする場面もちらほらある。

○○したパパを○○にするなど、正気の沙汰ではない展開もあって、『ローズ・イン・タイドランド』は、総じてどぎつい内容だ。それらをさらりと見せてしまえるのは、ジェライザ=ローズを演じるジョデル・フェルランの愛くるしさと演技力の賜物だろう。本作のジョデル・フェルランは、『アイ・アム・サム』でのダコタ・ファニングに匹敵する結果を残している。

『ローズ・イン・タイドランド』は、万人に受ける作品ではないけれど、マーケティングから生まれる映画には無い、灰汁の強いテイストが楽しめる。作家性の強い監督が作る映画が好きならば、きっと本作もお気に入りの一本になる筈だ。

評点(10点満点)

【6点】可愛くてちょっと変わったものが好きな女性におすすめ。

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