『ソーシャル・ネットワーク』レビュー

ともだち

2004年にハーバード大学の学生用SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)としてスタートしたFacebook(フェイスブック)は、現在ではその規模を拡大し、世界中で5億人を超えるユーザーがいると言われている。

Facebookは、当時まだハーバード大学の学生だったマーク・ザッカーバーグの手によって創設された。彼とその仲間たちが、どのようにFacebookを立ち上げ、今に至ったかを映画『ソーシャル・ネットワーク』は描いている。

マーク・ザッカーバーグは、何を手にいれ、何を裏切り、その果てに何を失ったのか……。

───2003年秋。ハーバード大学2年生のマーク・ザッカーバーグは、恋人にフラれた腹いせに、ハーバード大のデーターベースをクラッキングして女生徒の顔写真を集め、ルックスの格付けサイト「フェイスマッシュ」を立ち上げるが───

推定40億ドルもの巨万の富と、名声を20代にして手に入れたマーク・ザッカーバーグという題材から想定される単純なサクセスストーリーとは一味違う。

そもそも、人生における「成功」とは何なのか?

若者の抱える行き場のない怒り、葛藤、そしてなにより孤独感。それらを経て登場人物たちがたどり着くそれぞれの「成功」を、監督のデヴィッド・フィンチャーは冷酷なまでに浮き彫りにする。

かように『ソーシャル・ネットワーク』は、ネットに興味がなくても、若者を描いた人間ドラマとして不足なく楽しめるはずだ。

むしろIT業界の裏側を暴くノンフィクションを期待してはいけない。マーク・ザッカーバーグ本人もショーン・パーカー本人も、『ソーシャル・ネットワーク』は事実とは違うと主張しているので、おそらく話半分なのだろう。

その分、とびきりスピーディーでパワフルに仕上がっていて、派手なアクションに頼ることなく、121分の上映時間を飽きさせない。

『ソーシャル・ネットワーク』は、ゼロ年代を象徴する映画として、長きにわたって語られることになるかもしれない作品である。

評点(10点満点)

【7.5点】後味はよくない。

ネタバレ

実像かどうかはともかく、本作におけるマーク・ザッカーバーグは常人離れした天才で、また、人の気持ちを察する能力に欠けている。ショーン・パーカーは、享楽的でかなり自己中心的だ。なので、エドゥアルド・サベリンに感情移入した観客が多いのではないだろうか。

しかし監督のデヴィッド・フィンチャーは、エドゥアルドを「想像力が欠けている」と評して、マークに共感しているようだ。エドゥアルドを切り捨てたことも含めて。

何かを成し遂げるのは、マークに共鳴するタイプの人間なのかもしれない。

ちなみに、監督は「マークは必ずしもエドゥアルドに友情を感じていたとは限らない」とも考えているそうで、作中ではマークがエドゥアルドをどう思っているかは語られない。これは『ソーシャル・ネットワーク』を理解する上で重要な要素の一つだろう。

マークがショーン・パーカーを警察に売ったのか否かは分からない。ただ確かなのは、誰もいないオフィスに一人きりでマークが仕事を続けていたことだ。

Facebookが多くの人を繋げた一方で、マークは孤独をよりいっそう深めた。ネット社会の二面性を辛辣に風刺した、ほろ苦いラストである。

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