『ターミネーター4』レビュー

懐かしい未来

1984年にジェームズ・キャメロンが世に送り出した『ターミネーター』は、SF映画としては低予算で制作された作品ながらもヒットを飛ばし、今もなお多くの映画ファンから愛され続けている。

『ターミネーター』シリーズが描く物語のいしずえは、機械が人間へ反旗をひるがえした「審判の日」以降の未来。その未来の世界が、初作から20年以上もの時を経て、遂に我々の目前に姿を現すのだ。

(注) ここ以降はシリーズ1・2・3のネタバレがあります。

───2018年にスカイネットが引き起こした核戦争以降、人類は機械に支配されていた。「人類の救世主となる」と予言されたジョン・コナー。彼の父親となる運命のカイル・リースの前に謎の男マーカス・ライトが現れ───

前作まではコナー親子の孤独な戦いだったが、『ターミネーター4』は人類と機械の全面戦争だ。スケール感はグンと大きくなり、おもむきも今までとはまったく異なる。シリーズ作の焼き直しをするのではなく、新たな一歩を踏み出す気概がある。

その一方で、シリーズのお約束は律儀に守り、過去作へのオマージュも忘れないバランスの良い作りで、ファンへの配慮も忘れていない。

照り付く太陽に焼かれる荒廃した世界は、ざらついた色彩で映し出され、実に映画的な画だ。その世界観に合わせるようにユーモアは削ぎ落とされ、ウエットな人物描写も最低限に抑えてある。とても『チャーリーズ・エンジェル』の監督とは思えないドライな演出だ。マックGが監督することを懸念していた人もホッと胸を撫で下ろすだろう。

視覚効果は文句なし。当時は革命的だった『T2』のVFXだが、さすがに隔世の感がある。『ターミネーター4』では、『T3』までとは次元が違う新時代の映像が体験できる。ここ数年でアクションシーンの演出方法が変革したことも相まって、現在進行形の「新しい映画」になっているのだ。20歳以下なら、かなりの人たちが本作をシリーズ最高傑作だと認定するのではないだろうか。

さて、気になるストーリーだが、『ターミネーター4』制作初期に噂にあがっていた「『T3』はなかったことになる」はデマだったようで、『T3』のケイト・ブリュースターが引き続き登場する続編になっている。

初期の脚本では脇役だったジョン・コナーが、主演のクリスチャン・ベールの意向で主役に変更された件については、マックG監督とクリスチャン・ベールの間で多少のいざこざがあったようだが、結果的には正解だったと思う。コナー一族は、シリーズの柱となる存在なのだから。

『ターミネーター4』は、シリーズ新三部作の滑り出しとして満足できる出来栄えに達している。残念ながら本国アメリカでは特大ヒットとは行かなかったが、予定通り残りの二作を完成させて欲しいと思わせるに充分な力作だ。

評点(10点満点)

【8点】傑作シリーズの面目を保った。

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