『エンジェル ウォーズ』レビュー&解説

サッカーパンチ

2007年にサプライズヒットした映画『300』は、原作のグラフィックノベルさながらの映像を実写で具現した、エポックメイキングな作品だった。

その『300』を監督したザック・スナイダーが満を持して完成させた、彼にとって初のオリジナル脚本となる映画が『エンジェル ウォーズ』である。

───時は60年代。遺言により娘2人に相続された財産を狙う継父の策略で、精神医療施設に入れられたベイビードール。彼女は、ロボトミー手術を施されてしまう5日後までに施設を脱走する計画を立てるが───

「主人公の少女ベイビードールは、ダンスを踊ると意識が幻想世界へ飛ぶ」という設定なので、『エンジェル ウォーズ』には、あらすじからは想像できない幻想的な映像がてんこ盛りだ。

その幻想世界では、制服姿の女の子が、日本刀とハンドガンを手に、強大な敵をなぎ倒す。

要は日本のアニメ/ゲームで擦り切れるほど使い回された世界観をベースにしているのだけど、どうにもキャストのルックスがこの世界観に馴染んでいない。

結果、いかにもアメコミな雰囲気に仕上がっているのが興味深い。なので、アニメ/ゲーム的なものが苦手でも、アメコミ映画が好きなら楽しめるだろう。

なんせ、その映像は素晴らしい。まるで、『マトリックス』以降の映画における映像表現の集大成だ。

物語の方はというと、こちらは評価が分かれそうだ。『エンジェル ウォーズ』は、真相を観客の想像に委ねている。このタイプの映画は、得てして評価が分かれるが、本作はひときわ差が出るのではないか。

「なんにも内容が無かった!」と言う人も、「深かった……」と言う人もいるだろう。虚構世界から更に幻想世界に入り込むという多重構造なので、そこからどのような「真実」を読み取るかは、観客の感性しだいでガラリと変わるからだ。

あなたがどう考えるか。こればかりは実際に観てもらう他ない。そういった意味で、手放しに薦められる映画ではない。

けれど、『リベリオン』や『マトリックス』のアクションシーンが好きな人なら必見。『エンジェル ウォーズ』は、興行成績こそパッとしなかったが、捨てがたい味のある珍妙な大作映画である。

評点(10点満点)

【6.5点】ごった煮。

ネタバレ

さて、劇中の現実世界では何が起きたのか?順を追って検証してみよう。

(注) これより下はネタバレを含みます。既に観賞した方のみお読みください。

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本当に“5つのアイテム”を揃えた?

ベイビードールが処置室に連れて行かれるシーンでは、背景に火事の跡などが映されている。ベイビードールは、実際に“5つのアイテム”を揃えて、スイートピーを逃がしたのだ。

“ダンス”とは一体何なのか?

ブルー・ジョーンズがベイビードールをトイレに連れ込んだシーンで語られる職員たちの台詞では、院内で性的暴行に類する行為が繰り返されていたことが示唆されている。実際には、「ダンスで気をそらした」という生易しいものではなかったのだろう。

なぜ5つ目のアイテムはベイビードール自身なのか?

ご存知の通り、アメリカ人の多くはキリスト教を信仰している。そのキリスト教において“自己犠牲”は、重要な要素の一つであるようだ。

ベイビードールは妹を救えなかったことを、自らを捧げ他人を救うことによって贖罪したのである。

それゆえに、ラストで映るベイビードールの表情は穏やかなのだ。

バスの運転手の正体は?

本作がキリスト教の影響下にあることから答えは一つ、ずばり“天使”である。

だから、レノックスハウスにいない人物の中でただ一人、幻想世界にも登場できたのだ。

彼こそが、“迷える子羊”であるベイビードールを贖罪の旅へ導く“エンジェル”だったのだ。

この解説って製作者の意図通り?

これらのネタバレ解説は、完全に私見なのでご了承ください。

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