『スノーホワイト』レビュー

魔女の憂鬱

昔々、冬のさなか。ひとりの女王さまが、黒檀の窓枠に座って雪を眺めながら縫い物をしていると、うっかり指を針で刺してしまいました。すると女王さまは、雪の上に流れ落ちた三滴の血を見てこう思ったのです。「わたしは、雪のように身体が白く、血のように赤く美しい頬をもち、黒檀のように黒い髪をした子が欲しい」と。

口から口へと語り継がれてきた童話は、口承ゆえの歪がある。その歪は、多様な解釈を生み、また残忍さを隠し持っている。かくしてグリム童話は、子供のみならず大人も惹きつける物語として、2世紀を経た今でも生まれ変わり続けている。

そして、また新たに語り継げられるグリム童話が1つ。それが『白雪姫』を原作とした映画『スノーホワイト』である。

最近のハリウッドは、新たなコンテンツとしてグリム童話に目をつけたようで、『白雪姫』だけでも3本の実写映画が企画され、2本が完成に漕ぎ着けた。

それらは、おのおの独自のアレンジが施されている。なにせ元からして主観が混じった口承なのだから、リライトに制限がない。本作『スノーホワイト』は、『ロード・オブ・ザ・リング』のような骨太のファンタジー映画にアレンジされている。

集団での激しい戦闘シーンや、幻想的なエリアが点在する世界など。売れ線ファンタジー映画のフォーマットに『白雪姫』を巧く落とし込んでみせた。ただ、その分既知感が強く、刺激に欠ける嫌いがあるのは否めない。

そこをカバーしているのが女優陣の美貌だ。

美貌のピークは過ぎた感があるものの、それでもハリウッド随一の美しさを誇るシャーリーズ・セロンが魔女。今まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのクリステン・スチュワートが白雪姫。

女優としての立ち位置が、役に透けて見える2人がぶつかり合うさまは見ものだ。

平凡な仕上がりではあるが、気軽に観れる今風ファンタジー映画としては悪くない。すでに決定している続編で、どれだけ『白雪姫』の世界を広げられるのか楽しみである。

評点(10点満点)

【6点】大人には物足りないか。

ネタバレ感想

(注) ここ以降は『スノーホワイト』のネタバレがあります。

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「王子よりも猟師のほうが魅力的だな」と思って観ていたら、白雪姫が目を覚ますキスの相手が猟師だったので「なるほど」と膝を打ちました。王子が一途で誠実だっただけに不憫ですが、猟師を演じるクリス・ヘムズワースが格好良くて……。

猟師は自分のキスが効果てきめんだったことに気付かず、恋愛要素は持越し。次回作は2人のロマンスに焦点が当たるのでしょうか。

森の主がどう見ても『もののけ姫』のシシ神さまだったり、鳥への変身が解ける魔女の描写が『ハウルの動く城』のハウルまんまだったり、安易な模倣が気になりました。

監督のルパート・サンダースは、CMで名を馳せた映像作家で、カンヌ国際広告祭のグランプリを受賞したこともあります。そんな華々しい経歴の割には、オリジナルな映像が少なかったのが残念です。

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クリス・ヘムズワース
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