『SAW4/ソウ4』レビュー

パズルのピースはまだ埋まらない

次作へと続く伏線が張り巡らされていた前作から早一年、待望の『SAW4/ソウ4』が公開された。果たして残された謎の結末や如何に。

───数多くの仲間をジグソウに殺されたSWATのリッグ隊長は、事件の究明に固執するあまり正しい判断を失いかけていた。帰宅したリッグは不信な物音が玄関でしたことに気付き銃を構えるが───

『SAW/ソウ』シリーズも続きに続いていよいよ4作目となると、さすがに失速感は否めない。『SAW4/ソウ4』に用意されたどんでん返しは、今までのオチに比べて意外性と衝撃度に欠ける出来だ。しかし、ジグソウの過去を遂に明らかにすることで人気シリーズとしての面目はなんとか保っている。

どんな刺激でも続けば慣れるものだが、そこをなんとか飽きさせまいと腐心する製作者の気概は強く見て取れた。『SAW4/ソウ4』では、シリーズ過去作と複雑に絡み合わせることで新たな面白みを提示している。そのため、前作までを観ていない一見さんはお断りのディープな映画になっているので、本作を鑑賞する際は注意が必要だ。

『SAW/ソウ』シリーズのマエストロであるリー・ワネルが脚本に参加していないことで過去作とは少しばかり毛色が変わっている。それを新鮮だと評価するか、『SAW/ソウ』らしさが薄れたとがっかりするかで評価は分かれるだろう。私は幾分かの不満を覚えた。

前作の残された謎はいくつか回収されたが、すべてではない。それどころか新たな謎まで増えたのだから次回作があるのは間違いないだろう。2~4作目を監督したダーレン・リン・バウズマンが本作で降板することがほぼ決まっていることだし、『SAW5/ソウ5』はリー・ワネルの脚本とジェームズ・ワンの演出で有終の美を飾ってほしいものである。

評点(10点満点)

【6点】厳しいレビューなのはファンだから故のこと。なんだかんだいってシリーズファンなら楽しめる一本。

シリーズ

ネタバレ

(注) ここより下には『SAW/ソウ』シリーズの結末に触れる記載がありますので、必ずシリーズ全編を観賞後にお読みください。

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本作ではジグソウ=ジョン・クレイマーの解剖シーンから始めることによって、続く本編をジョン・クレイマーの死後に起きた出来事のように錯覚させている。これはジグソウがゲームのプレイヤーに仕掛けた罠ではなく、監督が観客に仕掛けた罠だ。映画の演出としては「あり」だが、『SAW/ソウ』としては「なし」だと感じた。一作目でジョン・クレイマーが立ち上がった瞬間に一番驚いたのは、観客ではなくアダムだった筈だ。感情移入していたアダムが巧みに欺かれ、そして驚愕の真実を知ったからこそ、観客の脳裏に焼きついて離れないラストシーンになったのだと私は思う。

プレビュー

(注) この項は『SAW4/ソウ4』公開前に掲載したものです。

シチュエーション・スリラーの大人気シリーズ『SAW/ソウ』の新作公開が決定しました。『SAW4/ソウ4』の公開予定日は、アメリカは10月26日、日本では11月17日です。

ちなみに『SAW/ソウ』シリーズが毎年この時期に公開するのは、ホラーやスリラーの需要が高まるハロウィン・シーズンに合わせてのこと。アメリカでは10月31日のハロウィンより前に公開するのと、ハロウィンが過ぎてしまってから公開するのでは、ホラー映画の興行成績がかなり違うのだとか。もちろん成績が良いのはハロウィンに合わせての公開なのは言うまでもありません。

『SAW4/ソウ4』の気になるスタッフ陣ですが、監督は2・3作目に引き続きダーレン・リン・バウズマン。脚本は、パトリック・メルトンとマーカス・ダンスタンです。

監督は、ダーレン・リン・バウズマンから、『SAW/ソウ』シリーズのプロダクション・デザインを手掛けたデビッド・ハックルにバトンタッチするという前情報だったのですが、結局バウズマンに落ち着いたようです。

脚本の2人は『The FEAST/ザ・フィースト』を手掛け、フィルモグラフィは『SAW4/ソウ4』で2作目の新人コンビのようです。そしてなんと、脚本家リストにリー・ワネルの名前がない!なんてこった!!これはシリーズ初めてのこと…。『The FEAST/ザ・フィースト』が未見なので、今作の脚本家の手腕は測れないのですが、素晴らしい脚本であることを祈ります。

『SAW/ソウ』シリーズの生みの親であるジェームズ・ワンとリー・ワネルは、今回はエグゼクティブ・プロデューサーとしてのクレジットのみ。彼ら在ってこその『SAW/ソウ』だと思っているので、こればかりは少し不安です。シリーズは全5作になるという噂があるので、完結編になるかもしれない『SAW5/ソウ5』の監督・脚本は、是が非でも彼らに手掛けてもらいたいものです。

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