『レクイエム・フォー・ドリーム』レビュー

喪失の果てに見た夢

これほど強く、胸を締め付けられるような思いになる映画は、『レクイエム・フォー・ドリーム』を措いてそう多くはない。

決して魅力的とは言えない登場人物たち(演じる役者は十二分に魅力的だが)の、転落していくさまが痛々しいまでに悲しいのは、彼らではなく、彼らが失ってしまうものに感情移入するからだろう。それらは大切な人であり、愛情や健康、誇りなどの誰にとってもかけがえのないものである。

本作の筋書きはシンプルで、ドラッグで身を持ち崩す人々を描いた群像物語だ。登場人物たちは失ってしまったものを取り戻すために、または未だ見ぬものを手に入れるために奔走し、しかし最後にはすべてを損なってしまう。

『レクイエム・フォー・ドリーム』は単純にアンチドラッグ作品としても観れる。学校等で使われている教材よりもはるかに効果的だろう。ジェニファー・コネリーの裸体を含む、刺激的で酩酊感のある映像を楽しんでも良い。おそらくはどんな目的で観たとしても、心の奥のひだを鋭くひっか掻れたような痛みを感じるだろう。そして、いまいちど自分にとって大切なものを強く抱きしめたくなるはずだ。決して無くしてしまわぬようにと。

評点(10点満点)

【8点】鑑賞後に、途轍もなくやるせない気持ちになること請け合いなので、観る際には覚悟が必要。

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監督:ダーレン・アロノフスキー
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