『ポセイドン』レビュー

一期の浮沈

───大晦日、北大西洋を航海中の超大型豪華客船「ポセイドン号」。船内では乗船客達が盛大な年越しパーティーに沸いていた。そのポセイドン号を50メートルを越す巨大な波「ローグ・ウェーブ」(脚注)が襲い掛かり───

「船が転覆した!大変だ、沈没する前に脱出だ!」という実にシンプルな筋書き。『ポセイドン』は、人間ドラマの要素はいさぎよく排除して、アクションを重視した、パニックムービーであることに徹している。

脱出までの道のりで、死人が出たり、人間として重大な選択を強いられることになるが、それに対する登場人物達の心理描写はほとんど描かれない。そのことに不満を感じる観客もいるかもしれない。しかし、実際に一分一秒を争う極限状態では、気持ちを整理することもままならないだろう。心が動く本当のドラマ。それは生還してから始まるのではないか。その意味において、『ポセイドン』は冷徹なまでに現実的とも言える。

上映時間はコンパクトな98分間。ポセイドン号が転覆してからは、米テレビドラマ『24』と同じく、リアルタイムで進む。そのため冗長さは皆無。とにかく手に汗握るシーンの連続で、ラストシーンまで緊迫感が持続する。「ハラハラドキドキ」なんて言葉が正に打って付けだ。

『ポセイドン』は、濃厚な人間ドラマを観たい人には向いてないが、アトラクション的で単純明快な興奮を求めているには打って付けの映画。とにかくアクションに重きをおいた映画なので、是非映画館の大スクリーンで観て欲しい。

評点(10点満点)

【7点】観ているだけで溺れそう。

脚注

ローグ・ウェーブ

ローグ・ウェーブとは、発生の原因が明らかにされていない、巨大な波のこと。フィクションではなく、人工衛星から実際に観測されたこともあるそうです。

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