『Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!』レビュー

ウイ.ノン.グラシアス!

四角四面に生きることを求められる窮屈なこの世の中で、自由奔放に生きる人は疎まれると同時に羨望の的にもなる。この映画の主人公ミスター・ビーンは正に自由奔放。ときには度を越して傍若無人ですらあるが、その振る舞いは、社会の規範に囚われない子供時代のいたずら心を呼び覚まし痛快な気分にさせてくれる。

───教会のくじ引きで南仏への旅行券とビデオカメラを当てたビーン。パリに到着したビーンは、ひょんなことから10歳の少年ステパンと共にカンヌ映画祭の会場を目指して旅することになるが───

今作は舞台をフランスにしたことが功を奏した。ロードムービー仕立ての本作にフランスの陽光がよく似合っているのだ。この色味が、劇中の悪趣味な要素を中和して、日比谷シャンテ・シネや恵比寿ガーデンシネマが好みそうなミニシアタームービーが如く品の良い雰囲気を本作に与えている。『ミスター・ビーン』シリーズのファンだけではなく、こういった感触が好きな映画ファンにも観てもらいたい。

また、ビーンは仏語が話せないから必然的に身振り手振りでコミュニケーションをもつことになり、テレビ版『ミスター・ビーン』の持ち味だったサイレントコメディ風味が活きている。なんせビーンを演じたローワン・アトキンソンは生まれ付いてのコメディアン。だから所作の一つひとつで笑わせてくれるのだ。その身体的表現力は見事としか言いようがない。ビーン=ローワン・アトキンソンのイメージがあるが、素のローワン・アトキンソンは全くの別人で顔付きまで違うのだから恐れ入る。

まさかのウィレム・デフォー出演やキュートなヒロインなど、ローワン・アトキンソン以外にも見所は一杯。クライマックスから、なんとも素敵な大団円までの畳み掛けるような展開も気持ち良い。

『Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!』は、原題『Mr. Bean's Holiday』の名の通り、よく晴れた休日のようなほのぼのとした気分になること請け合いの一本だ。

評点(10点満点)

【7点】良質なロードムービー。

余談

ローワン・アトキンソンとオアシスのノエル・ギャラガーって似てますよね。今にも繋がりそうな眉毛とか…。

ちなみに、ほぼ同時期に日比谷シャンテ・シネと恵比寿ガーデンシネマの両劇場が公開していたコメディ・ロードムービーが『ダージリン急行』です。なるほど、いかにもな良作なのでこちらのおすすめですよ。

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