『エターナル・サンシャイン』レビュー

シナプスが紡ぐ想い

鬼才チャーリー・カウフマンの脚本による、記憶をめぐるラブストーリー。彼の書く脚本はアクがとても強い。しかし『エターナル・サンシャイン』は軸にラブストーリーを据えたことで、ねじれていながらも親しみやすい映画になった。

───ある朝の通勤中にジョエル(ジム・キャリー)は抗えない予感に導かれ、会社ではなくモントールへ向かった。その海岸で出会ったクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)と、お互い一目で惹かれあう。ジョエルの車にある見覚えのない傷、切り取られた日記のページ、彼女は実は───

登場人物たちそれぞれ「二人」の関係性は、おかしみと悲しみ、希望と絶望が綯い交ぜに描かれ、そのどれも切ない。日々の雑音に、ときにかき消されてしまう互いへの想い。手を握り続けるのか、離してしまうのか、その選択の先にある結末(それは始まりでもある)を実にクールな視点で描いている。

極力 CG の使用を控えた演出で、シュール且つリアリスティックな世界を見事に映像化したのは、ミュージックビデオ畑出身の監督ミシェル・ゴンドリー。彼が創り出す映像世界は、チャーリー・カウフマンの世界観と似た匂いをかもしだしており、『エターナル・サンシャイン』の監督としてベストだろう。

ミシェル・ゴンドリーは役者の魅力を引き出すのも上手いようで、主人公を演じるジム・キャリーの格好良さは特筆に値する。役者同士のアンサンブルも良く、奇抜な映像作品を作るだけの監督ではないことを本作で証明している。

「この映画がハッピーエンドなのかどうか、それを決めるのは観客だ」とチャーリー・カウフマンは語る。結末をどう受け取るか、あなたの大事な人と一緒に観て話し合って欲しい。どのような結論を出したとしても、お互いを想う気持ちが深まるはずだ。

評点(10点満点)

【9.5点】ここしばらくで、ベストの映画の一つ。

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