『ダーク・シャドウ』レビュー

愚者の行進

ティム・バートンとジョニー・デップのコンビは、エドワード・シザーハンズから始まり、ウィリー・ウォンカ、マッドハッターと記憶に残るキャラクターを(再)創造してきた。

このコンビが8作目に選んだのが、60年代に放送されていたアメリカの昼ドラを映画化した『ダーク・シャドウ』だ。

───時は18世紀。裕福なコリンズ家で育ったバーナバスが遊びで手を出したメイドは、嫉妬深い魔女だった。彼女の怒りを買ったバーナバスは、ヴァンパイアにされ地中深く生き埋めにされてしまう。そして時は流れ1972年───

昼ドラといっても、ヴァンパイアと魔女と幽霊が跋扈するのだから一筋縄ではいかない。そして登場人物たちは、それぞれはぐれ者なのが、いかにもティム・バートンらしい。

いささか飽和気味のヴァンパイア映画だが、ナンセンスコメディ仕立てで、なんとか差別化されている。

笑いの軸は、2世紀を越えたジェネレーションギャップ。そして、ジョニー・デップが得意とする道化的キャラクターの持ち味だ。

例のごとく謎の髪形とメイクで作り上げられたバーナバスは、確かに魅力的である。だがしかし、いささかマンネリだと感じだ。なにせ8回も組んだコンビだから、観客の予想を超えるのは、もはや難しい。

ただ、『チャーリーとチョコレート工場』や『アリス・イン・ワンダーランド』を観ていない方なら、新鮮に感じるかもしれない。

『ダーク・シャドウ』は、キャラクターと笑いだけの映画ではない。ときおりゾッとするようなブラックなシーンもある。

このブラックな要素をもっと突き詰めれば、バーナバスが抱える矛盾性が活きて、もっと魅力的な映画になったのではないか。

こうした、いまひとつ煮え切らないもどかしさを感じた。

そんな中、唯一完全に突き抜けているのが、バーナバスのベッドシーンだ。こんな下らないベッドシーン観たことない。これは褒め言葉である。

不満だらけだが、なんだかんだいって楽しく鑑賞したのも事実である。ティム・バートンとジョニー・デップが持つ魅力だけで、2時間弱が持ってしまう。

それだけに、もっと突き抜けた映画を求めてしまうのだが。

評点(10点満点)

【6点】マンネリ感をぬぐえない。

ネタバレ

(注) ここ以降は本作のネタバレがありますのでご注意ください。

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『ダーク・シャドウ』を観て、良い意味で引っかかったのは、なんの罪もない土木作業員とヒッピーが虐殺される一方、クズ男のロジャー・コリンズがまんまと大金をせしめて、逃げおおせること。

とくにバーナバスがヒッピーを襲うシークエンスは、 不条理で面白い。(愉快ではないが)

本作のサプライズは、本人役で登場するアリス・クーパーだろう。撮影時63歳のアリス・クーパーが、24歳のアリス・クーパーを演じるのは、ヴァンパイア映画として正しい。なにせ、さして違和感がないのだから。

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