『300/スリーハンドレッド』レビュー

ディス!イズ!スパルタ!!

映画がテレビドラマと一線を画する所以に映像の美しさやインパクトがある。中でも色彩は、その映画のイメージを決定付けることもある重要な要素だ。映画『300』は、徹底的に色調をコントロールして生々しくも幻想的な映像世界を打ち出し、映画の新境地を切り開いた。

───時は紀元前480年。スパルタ王レオニダス(ジェラルド・バトラー)は、ペルシア大王クセルクセスから服従の証を立てるよう迫られる。「服従か、死か」その選択にスパルタの答えはただ一つ。レオダニスはペルシアの遣いを葬り去り、300人の精鋭で100万の大軍に立ち向かった───

原作は、ペルシア戦争の"テルモピュライの戦い"を描いたグラフィック・ノベル『300』。史実をベースにしているが、基本的にフィクションなので歴史的背景を知らなくても楽しめる。ただし、ペルシア(現イラン)の描き方がフェアでない。主人公たちの敵となるペルシア軍は典型的な悪役として扱われ、人体改造を施した異形の軍団になっている。本作に対してイラン政府が不快感を表明したのも頷ける。このあたりが気になる方は楽しめないかもしれない。

さて、『300』は単純明快なチャンバラ映画として観ればなかなかの佳作だ。まず、殺陣(たて)の完成度に目を見張るものがある。ほとんどの戦闘シーンはスローモーションで映されるのだが、引き伸ばされた時間軸の中でも動作のほころびが見えない。近年のハリウッド映画では随一の出来栄えだ。

場のテンションに合わせ自在に速度が変化するスローモーション、歌舞伎のように見得を切る熱い演技、逆光を効果的に使った映像。そんな徹底した美意識を基に創り上げた荘厳な映像世界の中で、惚れぼれするような鍛え上げた肉体を持つ戦士たちが全力でぶつかり合う。そのワンシーン、ワンシーンはまるで一枚の美しい絵画のようで、観る者に強く印象を焼き付ける。

予告編で御馴染みの「This is Sparta!」の台詞に熱いものを感じたなら、鑑賞して損はない力作の登場だ。

評点(10点満点)

【7点】評価は分かれるだろう。

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余談

『300』の予告編に使われているBGMはナイン・インチ・ネイルズの"Just Like You Imagined"です。そのあまりのハマり具合は鳥肌が立つくらいですが、残念ながら映画本編では使われていません。映画館の大スクリーンと大音響でこの組み合わせを体験したかった…。

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