『陽月人形展 Hizuki Doll Exhibition"jamais vu"』鑑賞記

生死の狭間

雑誌で一目見たとたんに心奪われた一体の球体関節人形。その人形を作成した人形作家の陽月さんが初の個展を開くと聞いて、人形町まで足を運びました。

『陽月人形展 Hizuki Doll Exhibition"jamais vu"』は、とても小さいスペースでの開催だったけれど、名前が付けられた人形が(おそらく)すべて揃っており、とても見応えがある個展でした。

陽月さんが人形に名前をつけ始めたのはDoll-18『蘇芳』から。それ以前の人形もわるくないのですが、天野可淡さんの影響から良い意味で脱却した感じを受ける『蘇芳』以降から、グンと魅力的になったと思います。

多くの人形作家は、獣憑きのようなクセのある顔立ちの球体関節人形を好んで創ります。その点陽月さんが創る人形は、現代的で素直な美しさの顔立ち。作家性がエゴイズムに陥らずに、人形への想いが美しさへと昇華している稀有な例ではないでしょうか。

また、現在の日本における球体関節人形は、その耽美で退廃的なイメージからかゴスカルチャーとの結び付きが強いのですが、Hizuki Dollからはゴスな雰囲気がそれほどしません。アンティーク生地の着物が良く似合う、どこか日本的な顔付きをしているせいでしょうか。それでいて日本人形ともまた違う微妙な空気感。このあたりは他の人形作家と一線と画するものがあります。

さて、文頭で書いた、私が一目で魅了された球体関節人形とはDoll-19『朔』です。念願の『朔』に会えて、うっとりと見蕩れたのはもちろんのこと、他の人形たちも魅力的でぐるりぐるりと3周以上も観て回りました。

「陽月さんの次回の個展が開催されたら是が非でもまた行きたい!」と思わせるくらい、『陽月人形展 Hizuki Doll Exhibition"jamais vu"』は大満足の内容でした。

オフィシャルサイト

陽月 "Hizuki-doll" Website
プロフィール、ギャラリー、活動情報など。

関連記事

余談

ちなみにこの個展、なんと入場無料(!)だったんです。「1,000円くらいするのかな?」と思い込んでいたので、浮いたお金で人形町にある老舗の甘味処であんみつを食べたりして、なんだかすごく得した気分でした。

前の記事:
誰にも言いません
次の記事:
その真偽はいかに

カテゴリー

サイト内検索

おすすめアイテム

ページの先頭へ戻る